2026-01

文学

【全13章総括】『草枕』と漢文学――「非人情」を構築する引用の体系

夏目漱石『草枕』全13章(全17回連載)を徹底解説。陶淵明、王維、屈原などの漢文学的背景を軸に、画工が「非人情」の旅を経て「憐れ」の成就に至るまでの思想を網羅的にまとめたガイドです。
文学

第十七回:最終章 停車場の別れ|「成就」した画面と「憐れ」の昇華

『草枕』最終回。久一の出征を見送る画工一行。文明の象徴である汽車を「個性を軽蔑するもの」と断じつつ、別れの瞬間に那美が見せた「憐れ」の表情に、画工はついに画の完成を確信する。日露戦争の影と芸術の救済。
文学

第十六回:第十二章 芸術家の「態度」と木瓜の悟り|非人情の極致と「憐れ」の予感

『草枕』第12章。画工は木瓜の花を見つめ「愚にして悟ったもの」としての理想の姿を見出す。那美と元夫の密会を「画」として観察する非人情な視点。しかし那美の突然の告白と、従弟・久一への短刀の餞別が、物語を現実の悲劇へと引き戻す。
文学

第十五回:第十一章 観海寺の夜話|「随縁放曠」の散歩と木蓮の空

『草枕』第11章。朧月夜の観海寺を訪れた画工。晁補之の記行文を口ずさみ、覇王樹や木蓮の花に「非人情」の極致を見出します。大徹和尚との対話を通じて、那美が抱える「機鋒」と禅的修業の背景が明かされる。世俗の探偵を笑い飛ばす、洒脱な夜話。
文学

草枕第14回解説|第10章 鏡ヶ池と屈原『離騒』、自然の平等観と憐れ

『草枕』第10章。鏡ヶ池で独り沈思する主人公の脳裏に浮かぶ屈原『離騒』の蘭と、自然の「無私」の境地。椿の落花に「妖女」を重ね、画の完成に欠かせない「憐れ」という情緒の発見。漢文学的知見から紐解く、非人情と写実の相克。
文学

草枕第13回解説|第9章のスウィンバーン引用と禅語「竹影払階塵不動」の真意

『草枕』第9章。那美と主人公の非人情な対話を解剖。余が日本語に訳して読み聞かせるスウィンバーンの詩「舳(とも)に行く女」の出典や、那美が口にする禅語「竹影払階」の意味を解説。
文学

草枕第12回|端渓九眼の硯と山陽の俗気。物徂徠(荻生徂徠)の書を愛でる

『草枕』第8章後半。九つの眼を持つ端渓硯を巡り、山陽の「才子肌」を批判。物徂徠(荻生徂徠)の品格とは何か。中国文学における「眼」の価値、米芾ら愛石家の系譜から、隠居があえてこの硯を見せた真意を解剖。
文学

草枕第11回|大徹和尚と煎茶の韻事、杢兵衛・青磁の文人美学

『草枕』第8章、大徹和尚との煎茶席を詳解。支那の花毯や杢兵衛の茶碗、青磁に宿る「春の日影」の正体を、白楽天の詩情や『列子』の故事を引用して分析。一滴の玉露から広がる非人情の境地と、那美の「芹摘み」に隠された諧謔を読み解きます。
文学

草枕第10回|温泉の美学:白楽天とミレー、嫦娥に見る非人情

『草枕』第7章。温泉で自己を溶解させる主人公の美学を解剖。白楽天『長恨歌』の引用やミレー『オフェリヤ』への批評を通じ、漱石が描く「風流な土左衛門」と「裸体の気韻」の正体を読み解きます。東洋と西洋の美学が湯煙の中で交錯する瞬間。
文学

第九回:第六章の漢詩全釈(後編)|「画にできない情」を詠む推敲の心理

夏目漱石『草枕』第六章の漢詩(五言十四句)を徹底解説。大漢和辞典に基づき平仄・押韻を分析。最初の6句がなぜ「画になる」のか、そこから「画にできない情」を求めていかに推敲されたのか、漱石の創作心理を読み解きます。