長い冬が終わり、ふとした瞬間に春の匂いを感じる。そんな「希望の兆し」があなたの元に届いていませんか?
易経の二十四番目にあたる**「地雷復(じらいふく)」は、大地(地)の底で雷(動き)が鳴り響き始めた姿を象徴しています。すべてが失われた「剥」の直後に訪れる、たった一つの光。日本でも冬至の時期によく使われる「一陽来復」の語源となった卦です。この記事では、卦辞の漢字を漢和辞典の語義序列から深掘りし、「十翼(じゅうよく)」**が教える「再起を確実にする方法」を解説します。
徹底解読:卦辞「復、亨。出入无疾。朋来无咎。反復其道、七日来復。利有攸往」
漢和辞典の語義序列を精査し、「復」という字に込められた「往復」と「本質への帰還」を読み解きます。
- 【復】(フク・かえる・かえす・また)
- かえる: もとの場所に戻る。
- かえす: 返却する、報いる。
- ふたたび: もう一度、繰り返し。
- 根拠: ここでは**1と3を合わせた「本来の正しい道に戻り、再始動する」**という意味を採択します。単なるリピートではなく、迷いの中から本来の自分(善なる心)を取り戻すプロセスです。
- 【亨】(コウ・とおる)
- 【疾】(シツ・やまい・はやい)
- 根拠: 「病(支障)」がないこと。新しい流れはスムーズです。
- 【朋】(ホウ・とも)
- 根拠: 志を同じくする仲間。
- 【七日】(なぬか)
- 根拠: 易経のサイクル(六つの爻が一周して次へ戻る周期)を指します。
【総合解釈】
復の時は、道が再び通じ始める(亨)。活動を再開(出入)しても支障はなく(无疾)、同じ志を持つ仲間も集まってくる(朋来无咎)。物事は周期的に循環しており、七日(一定の期間)経てば必ず陽の気が戻ってくる(七日来復)。積極的に行動を起こすのが良い時期だ(利有攸往)。
十翼が説く「天地の心」を観る道理
十翼の**『彖伝(たんでん)』**は、この卦の最も深い哲学をこう記しています。
「復に、その天地の心を観る」
すべてが冷え切った地の底から、たった一つの陽が生まれる。この「生きようとする意志」「生み出そうとするエネルギー」こそが**天地の心(慈しみ)**であると説いています。また「剛(陽)、戻るなり。動いて、もって順に行なう」ともあり、無理に動くのではなく、自然の回復力に合わせて動くことが成功の鍵であると教えています。
また、**『序卦伝(じょけでん)』**では「物はもって尽きるべからず。剥(剥落)は上(かみ)に窮(きわ)まれば、下(しも)に反(かえ)る。ゆえにこれを受くるに復をもってす」とあります。悪運も幸運も永遠には続かず、極まれば必ず反転するという、宇宙のバイオリズムを説いています。
再起を成功させる6段階:自分を律して戻る
地雷復における「回復のプロセス」を、迷いから立ち直る様子とともに見ていきましょう。十翼の**『象伝(しょうでん)』**がその指針を示します。
| 段階 | 易経の言葉(爻辞) | 十翼(象伝)による指針 | 現代的解釈 |
| 第一 | 遠からずして復(かえ)る。悔いに至ることなし | 「もって身を修むるなり」:遠くへ行かないうちに戻る。 | 即断: 過ちに気づいたらすぐ修正する。傷が浅いうちに再起できる。 |
| 第二 | 休(うつく)しく復る。吉 | 「もって仁(じん)に下(くだ)るなり」:立派に、美しく戻る。 | 素直: 優れた人の助言に従い、素直に元の道へ戻る。 |
| 第三 | 頻(しき)りに復る。厲(あやう)けれど咎なし | 「義、咎なきなり」:何度も迷っては戻る。 | 粘り強さ: 習慣を変えるのは難しい。三日坊主でも、また戻れば良い。 |
| 第四 | 中行(ちゅうこう)して独り復る | 「道に従うなり」:仲間と離れても、一人で正しい道へ戻る。 | 孤独な決意: 周囲に流されず、自分自身の良心に従って再出発する。 |
| 第五 | 敦(あつ)く復る。悔いなし | 「中、もって自ら省みるなり」:手厚く、誠実に戻る。 | 自省: 自分の非を認め、誠実な態度で元の場所へ復帰する。 |
| 第六 | 迷いて復る。凶 | 「君子の道に違うなり」:戻るべき時を逃し、迷い続ける。 | 手遅れ: 意地を張り、チャンスを逃す。大失敗を招く警告。 |
十翼が説く「静かなる始動」の教え
地雷復の**『象伝(しょうでん)』**には、新しいサイクルが始まったばかりの時の「過ごし方」が記されています。
地の中に雷あるは、復なり。先王もって冬至の日、関(かん)を閉じ、商旅(しょうりょ)行かず、后(きみ)も方(ほう)を省(せい)せず。
大地の下で雷がかすかに震えているのが復の形です。
君子(リーダー)はこれを見て、「関を閉じ(閉関)」、つまり「門を閉ざして休息し」、商人も旅人も動かず、王さえも領地巡回を控えるべきだと説いています。
一陽来復は「始まり」ですが、まだ陽の気は弱々しいものです。ここで急いで動きすぎると、芽が摘まれてしまいます。「動き出したという自覚を持ちつつ、エネルギーを蓄えるために静かに過ごす」。これが再起を確実にする極意です。
地雷復の教えを今すぐ活かすべき人
- 失敗から立ち直り、新しいスタートを切ろうとしている方
- 悪い習慣を断ち切り、自分本来の良さを取り戻したい方
- まだ手応えは小さいが、何かが変わり始めている予感がある方
地雷復は、どんなに暗い夜でも必ず朝が来ること、そして「戻る勇気」こそが最大の才能であることを教えてくれます。
もしあなたが今、再出発の地点にいるなら、第一爻のように**「早めの修正」**を心がけてください。小さな違和感を見逃さないことが、大きな成功への近道です。また、象伝が教えるように、今はまだ「アクセル全開」にする時ではありません。静かに、しかし着実に準備を進めましょう。
七日(一定のサイクル)が過ぎれば、あなたの内なる雷鳴は大地を揺るがし、輝かしい春を呼び込むはずです。
十翼の**『彖伝』**はこう締めくくっています。
「復は、亨(とお)るなり。剛、戻るなり」
力強さが戻ってきました。道は開かれています。
次回の予告:
次は、作為を捨てて天命に従う、純粋無垢な境地**「天雷无妄(てんらいむぼう)」**について解説します。「計算」を捨てたときに見えてくる、真の幸福を学びましょう。
それでは。


