【第27章解体】ファンドのパフォーマンス、インデックス投資、投資家のリターン――「市場に勝てない」という50年の証拠

デスクの上に置かれた防災ヘルメットと『SURVIVAL INVESTING』というタイトルの分厚い投資本。背景には株価チャートが表示されたモニターがあり、震災後の生活を守る「資産防災」のイメージを表現している。 資産防災

【免責事項】本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品・投資行動を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。

ジェレミー・シーゲル著『株式投資(Stocks for the Long Run)』第6版 第27章のテーマは「ファンドのパフォーマンス、インデックス投資、投資家のリターン」だ。本書の中でも最も実践的な章の一つで、アクティブ運用ファンドが市場に勝てないという50年分のデータと、その理由、そしてインデックス投資の優位性を徹底的に示す。本稿では原文に忠実に整理したうえで、これまでの評価軸に沿って検証する。


【抽出】第6版 第27章の核心的ロジック

A. 「市場平均をとること」の驚くべき合理性

著者は章の冒頭で、株式投資の独自性を指摘する。テニスでロジャー・フェデラーに勝てないように、たいていの分野では他の人が何時間も技術を磨いた仕事で素人が平均以上にうまくやれるチャンスはない。しかし株式市場では、まったく練習しなくても誰でも平均的な投資家と同じようにうまくやることができる。

この驚くべき現象は非常に単純な事実に基づいている。個々の投資家の保有株式の合計は市場に等しいので、市場のパフォーマンスは本質的に個々のすべての投資家の平均パフォーマンスになる。ある投資家が市場を1ドル上回っていれば、別の投資家が市場を1ドル下回っているはずだ。市場のパフォーマンスと連動させることができれば、平均的投資家より悪い結果にはならないことが保証されている。

1975年以降、インデックス型のミューチュアルファンドやETFが普及し、小口投資家でも広範な銘柄をカバーする株価指数と同等のパフォーマンスを達成することが可能になった。

B. アクティブ運用ファンドの実績:悲惨なデータ

著者はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が年2回公表しているアクティブ運用ファンドのパフォーマンスレビューを引用している(表27-1、2021年6月30日時点)。米国内ファンド全体では2021年6月30日までの3年間で4分の3以上がそれぞれの比較対象をアンダーパフォームしており、10年間と20年間では90%以上がアンダーパフォームしている。

図27-1が示す通り、過去半世紀のうち半数以上のファンドが市場をアウトパフォームしたのはわずか11年で、それらの年はたいてい小型株が大型株をアウトパフォームした年だった。さらにこの傾向は悪化し、2008年から2021年まで半数以上のファンドが市場をアウトパフォームした年は一度もない。

図27-2は1972年から2021年までの50年間存続した132のファンドのリターンの分布を示している。S&P500を年率2パーセントポイント超アウトパフォームしたファンドは1本のみで、83本(ほぼ3分の2)は市場インデックスをアンダーパフォームした。理論的にランダムな選択であれば21ファンドが年間3%超市場をアウトパフォームすると予測されたが、実際にアウトパフォームしたファンドは1本だけだった。

著者はさらに、これらの数値でも実際は「かなり良い方向へのバイアス」がかかっていると指摘する。50年間存続しているファンドのみが含まれており、パフォーマンスが悪く中途で廃止となったファンドは除外されている(生存バイアス)。また、初期の時代には一般的だった販売手数料と償還手数料も除外されているため、投資家への正味のリターンはさらに低くなる。

C. 最も運用成績が良かったファンドのその後

表27-2は1972年以降の最もパフォーマンスの良かった存続ファンドの最初の40年間と最近10年間のパフォーマンスを示している。

アウトパフォームが継続することはあまり期待できないと著者は述べる。最初の40年間でS&P500を年率3パーセントポイント近く上回ったトップ15本のファンドのパフォーマンスは、その後の10年間はほぼ同じ幅でアンダーパフォームしている(平均でS&P500比+2.87%→-2.73%)。

例外として著者はマゼラン・ファンドを挙げる。ピーター・リンチが1977年から1990年まで運用したフィデリティのマゼラン・ファンドはS&P500の2倍以上となる年率29%超という驚異的なリターンを実現した。14年間にわたって運だけでこれだけの差をつけて市場をアウトパフォームし続ける確率は50万分の1だ。マゼラン・ファンドは表27-2のトップ15本のうち唯一その後の10年間もアウトパフォームした(1972〜2012年でS&P500比+3.10%→2012〜2022年で+1.05%)。

バークシャー・ハザウェイも表27-2に含まれている。1972年から2012年まで年率17.88%でS&P500を概ね8パーセントポイント上回った。このようなアウトパフォームが偶然によって起こる確率は100分の1程度だ。しかしバフェットのバークシャーもその後10年間はS&P500をアンダーパフォームした(-1.96%)。

ビル・ミラー(レッグ・メイソン・バリュー・トラスト)は1991年から2005年まで15年連続でS&P500を上回るという記録的な好成績を残したが、2006年から2008年にかけては突然大きく落ち込んだ。

D. 優れたファンドマネジャーを見つけることの困難さ(表27-3)

著者は「平均を上回る銘柄選択能力を持つファンドマネジャーが、市場を上回るリターンを達成する確率」を計算した表27-3を示している。

結果は驚くべきものだ。たとえファンドマネジャーが市場平均より年率1%リターンが高い銘柄を選択しても、10年後のリターンが市場平均を上回る可能性は62.7%ほどで、30年後でも71.2%にすぎない。市場を年率2%上回る銘柄を選択しても10年後に市場を上回る可能性は74.0%で、4分の1は市場を下回る可能性がある。

能力不足のファンドマネジャーを見抜くことも同じように困難だ。ファンドマネジャーのパフォーマンスが15年間も市場の平均リターンを年率4%下回っていれば、間違う可能性が20分の1以下の確率でそのマネジャーは単に運が悪いのではなく運用が下手だと統計的に言うことができる。その間にあなたの資産はインデックスに投資していた場合の半分程度に減少している。

著者は市場を年率5%上回ると期待できる優秀なファンドマネジャーの例で考える。そのようなマネジャーが2年後に少なくとも市場と同じパフォーマンスを達成しなければ解雇されるという条件を与えた場合、2年にわたり市場に勝つ可能性は76.1%しかない(1年後では69.2%)。つまりそのような優秀なマネジャーでも解雇される可能性が約4分の1ある。

E. ファンドのアンダーパフォーマンスの原因

著者は一般にファンドのパフォーマンスが市場平均を下回る主な理由は、ファンドマネジャーが一貫して良くない銘柄を選ぶからではないと述べる。彼らのパフォーマンスがベンチマークを下回るのは主に年間平均2%程度かかる手数料と売買コストのためだ。証券会社への手数料と売買スプレッド、運用報酬(さらには販売手数料)、そして同等かより優れたスキルを持つ他のファンドマネジャーとの競争という三重のコストがリターンを削る。

年間2〜3%の売買コストや運用報酬が長期的な富の蓄積にいかに有害かを著者は具体的な数値で示している。第二次世界大戦後の株式市場の名目リターンは年率11%で、1000ドル投資すると30年後には2万3000ドルになる。しかし年間手数料が1%課されると最終的な累積額は3分の1ほど減少する。年間手数料が3%であれば累積額は1万ドルを若干上回る程度で、市場平均リターンの半分以下になる。さらに著者は「仮に25歳から投資を始めた投資家がいるとすれば、年間コストが1%上昇するごとに退職時期を2年遅らせる必要がある」という示唆も加えている。

「生兵法は大けがのもと」という格言も金融市場に当てはまると著者は述べる。株式評価について学び始めたばかりの新米投資家は、実は情報に通じた投資家が知識の乏しい投資家から利益を上げるための「相手」になってしまうことが多い。まったく知識を持たずインデックスに連動させているだけの投資家のほうが、むしろうまくいくことが多い。

チャールズ・D・エリスは1975年の『敗者のゲーム』という論考でこう結論付けた。「よく言われるような市場に打ち勝つという目標に反して、ファンドマネジャーは市場に打ち勝つことはできない。市場が彼らを打ち負かすのである」。

F. パッシブ投資の人気と規模

バンガード500インデックスファンドは1976年に純資産総額1140万ドルで設定され、インデックス投資という基本理念が生き残ると考えた人はほとんどいなかった。しかし着実に勢いを増し、1995年末には170億ドルに達した。S&P500が史上最高値に達した2000年3月には純資産総額が1000億ドルを超え世界最大の株式ファンドとなった。2021年末には純資産総額は8000億ドルに達し、すべての米国株を組み入れるトータル・ストック・マーケット・ファンドは1兆3000億ドルを超える資金を引き付けた。

バンガード500インデックスファンドの年間総コストは純資産価値のわずか0.04%にすぎない。

G. S&P500インデックス採用の影響

著者はS&P500への銘柄追加が株価に与える影響を論じている。発表から実際の追加日までの期間に株価は平均8.49%上昇し、追加10日後には平均3.23%下落(追加直前の上昇分の約3分の1を失う)するが、発表から1年後には平均8.98%上昇している(すべて市場全体の動きで調整済み)。近年では追加発表によって4%以上の株価上昇が見られる。

著者は具体例として2つを挙げている。ヤフーは1999年12月のS&P500追加発表から正式採用まで5日間で株価が64%高騰した。テスラは2020年12月21日の指数入りまでに56%以上値上がりし、指数入り当日に2億株超が取引され時価総額1500億ドル超の価値消失が起きた。

著者はこのような「インデックスプレミアム」がインデックスファンド投資家にとって問題となる可能性を指摘している一方で、こうした逆風にもかかわらずS&P500は2021年まで、より包括的なインデックスファンドのほとんどすべてをアウトパフォームしてきたとも述べている。

H. ファンダメンタル加重平均指数

著者は時価総額加重平均指数の代替として「ファンダメンタル加重平均指数」を解説している。これは時価総額の代わりに配当・利益・キャッシュフロー・簿価純資産のような企業のファンダメンタルな金融データで各銘柄を加重平均するものだ。

時価総額加重平均指数は市場が効率的であるときにのみ最適となるが、第13章で示したように「ノイズ市場仮説」(株価には企業の本来価値とは無関係なノイズが含まれる)のほうが現実をより適切に説明できるなら、ファンダメンタル加重平均指数のほうが優れた選択になる。ファンダメンタル加重平均指数では株価が上がっても利益などファンダメンタル指標が上がらなければその銘柄は売却され、逆にファンダメンタルズとは無関係に株価が下落した場合は購入する。このプロセスを「リバランス」と呼ぶ。

ファンダメンタル加重平均指数の歴史として著者はいくつかの先駆者を紹介している。1987年にゴールドマン・サックスのロバート・ジョーンズが利益に基づく指数を開発し「経済的投資(エコノミックインベスティング)」と呼んだ。2005年初めにリサーチ・アフィリエイツのロバート・D・アーノットがジェイソン・フス、フィリップ・ムーアとともに「ファンダメンタル指数」という論文を発表した。2005年12月に最初のファンダメンタル加重平均ETFがパワーシェアーズから販売された(FTSE RAFI US 1000)。6カ月後にウィズダムツリー・インベストメンツが配当に基づく20のETFを開始した。

著者は自身がウィズダムツリー・インベストメンツのシニア投資戦略アドバイザーを務めていることを脚注で開示している。表27-4が示す通り、2007年2月23日〜2022年3月4日の期間でファンダメンタル加重平均ファンドのリターンはS&P500(SPY:9.66%)には及ばなかったが、S&P500バリューファンド(IVE:7.00%)やラッセル1000バリューファンド(IWD:6.89%)は上回った(PRF:9.15%・EPS:9.19%・DTD:8.22%)。

I. 結論

著者の結論は明確だ。アクティブ運用ファンドの過去のパフォーマンスは喜ばしいものではない。ほとんどのファンドが課する手数料は投資家に優れたリターンをもたらすこともなく富を蓄積するうえで大きな障害になる。さらにファンドの成功には幸運が何らかの役割を果たすので優秀なファンドマネジャーを判別するのは非常に困難だ。コストを考慮に入れれば大部分のアクティブ運用ファンドのリターンはベンチマークを大幅に下回るので、ほとんどの投資家は時価総額加重平均かファンダメンタル加重平均のインデックスファンドを利用したほうが良いかもしれない。


【検証】第4版(2005年)から第6版(2025年)への差分分析

【4版(2005年)の状況】
「アクティブ運用ファンドの多くが市場をアンダーパフォームするという
 実証的証拠は蓄積されていたが、インデックス投資はまだ主流ではなかった」
  ↓
【6版(2025年ベース)での現実】
バンガード500インデックスファンドが2021年末に8000億ドル超に成長。
2008年から2021年まで、半数以上のファンドがアウトパフォームした年が一度もない。
バークシャー・ハザウェイも2012年以降S&P500をアンダーパフォーム。
  ↓
【シーゲルの対応】
「アクティブ運用の劣勢は悪化する一方で、インデックス投資への資金流入が加速した。
 ただしS&P500への銘柄追加効果(インデックスプレミアム)という新たな問題も浮上した。
 ファンダメンタル加重平均指数は時価総額加重の代替として実績を積んでいる」
評価軸具体的象徴4版から6版への変質と分析
【改善・的中】「アクティブ運用の大部分はインデックスを下回る」という50年分のデータの圧倒的な裏付け2008〜2021年に半数以上がアウトパフォームした年が一度もないという事実と、バークシャーすら2012年以降はアンダーパフォームしたという事実は、第4版時点より強力な証拠だ。
【修正・誤認】「S&P500インデックスへの採用で株価が跳ね上がる」問題の深刻化第4版時点でも指摘されていたが、テスラの56%上昇・2億株超の取引という2020年の事例は、この問題がより深刻になっていることを示した。

【峻別】経済的必然 vs 時代的偶然

経済的必然(2050年でも再現可能性が相対的に高いもの)

  • 「市場のパフォーマンスはすべての投資家の平均パフォーマンスになる」という算術的必然: これはゼロサムゲームの数学的原則から導かれる必然であり、2050年でも変わらない。コストを引いた後の平均的なアクティブ投資家のリターンは、定義によって市場を下回る。
  • 「年間2〜3%のコストが長期的に資産を半減させる」という複利の力: 1000ドルが30年で2万3000ドルになる場合、1%のコスト上昇が累積額を3分の1減らすという計算は純粋に数学的な必然だ。
  • 「ランダムな選択でも予測されるよりアウトパフォームするファンドが少ない」という現実: 理論上21ファンドが年3%超アウトパフォームすると予測されたが実際は1本だけという事実は、コストとの戦いの困難さを示している。

時代的偶然(特定の条件が重なった可能性があるもの)

  • 「S&P500インデックスへの採用効果」の継続性: インデックスファンドへの資金流入が巨大になればなるほどインデックス採用効果は大きくなるが、逆に市場参加者全員がこの効果を知っていれば裁定されて消失する可能性もある。
  • バークシャーの「直近10年のアンダーパフォーマンス」: バフェットの投資手法(保険会社のレバレッジを活用した集中投資)は2000年代以降の市場環境で相対的に不利になった可能性がある。これは時代的偶然であり2050年の環境では再び有利になるかもしれない。

【批判】2050年への死角

① 「インデックス投資の普及がインデックス投資自体の有効性を損なう」という逆説

著者はS&P500への採用効果という問題を提起しているが、これはより根本的な問題の一側面だ。インデックスファンドへの資金流入が増えるほど、指数構成銘柄への資金が半自動的に流入し、非構成銘柄からは資金が流出する。このプロセスが極端になれば、S&P500構成銘柄は過大評価され非構成銘柄は過小評価される「インデックスバブル」が生まれる可能性がある。著者はこの問題をさらりと触れているが、2050年に向けてインデックス投資がさらに主流化した環境ではより深刻な問題になりうる。

② 著者のファンダメンタル加重型ETFへの利害関係の開示

著者は自身がウィズダムツリー・インベストメンツのシニア投資戦略アドバイザーを務めていることを脚注で開示している。この利害関係はファンダメンタル加重平均指数に関する著者の評価(「投資家がポートフォリオをバリュー投資に傾けたいのであれば、ファンダメンタル加重平均指数のほうが、多くのバリューファンドよりも一般的に分散効果が高い」)の客観性について読者が留保をもって評価すべき要素だ。


【評価】第27章の評価軸

評価論点判断の根拠
【信】Core Theory「コストを考慮すると、大部分のアクティブ運用ファンドのリターンはベンチマークを大幅に下回る。ほとんどの投資家はインデックスファンドを利用したほうが良い」という結論50年分のデータ・生存バイアスの指摘・コストの複利効果の計算・算術的な必然性という複数の角度から裏付けられた結論だ。2050年でもこの原則は変わらない。
【疑】Variableファンダメンタル加重平均指数がS&P500バリューファンドやラッセル1000バリューファンドを上回るという2007年〜2022年の実績著者自身が「過去の実績は将来の保証にはならない」と認めており、この比較的短い期間の実績は将来の優位性を保証するものではない。また著者自身の利害関係もある。
【棄】Bias「ある年にアウトパフォームしたファンドは次の年もアウトパフォームする可能性が高い」という短期的な持続性への過度な期待著者はこれを「おそらくファンドマネジャーが特定の投資スタイルに従っていて、そのスタイルが数年間は有効であることが多いためであろう」と限定的に述べている。実際には表27-2が示す通り、トップ15ファンドのその後10年の平均はマイナス2.73%だ。

まとめ

本に記述された事実と変遷

第27章の核心は「アクティブ運用ファンドの大部分は長期的にインデックスをアンダーパフォームし、その最大の理由はコストだ。ほとんどの投資家にとってインデックスファンドが最良の選択だ」という50年分のデータに裏付けられた結論だ。

アクティブ運用の実績(2021年6月30日時点)

  • 米国内ファンド全体:3年間で75%以上がアンダーパフォーム、10年間・20年間では90%以上がアンダーパフォーム
  • 過去半世紀で半数以上がアウトパフォームした年:わずか11年
  • 2008年から2021年まで:半数以上がアウトパフォームした年は一度もなし
  • 1972〜2021年で存続した132ファンド:年率2%超アウトパフォームはわずか1本、83本(約3分の2)はアンダーパフォーム
  • ランダム選択の理論値(年3%超アウトパフォーム):21本の予測に対して実際は1本

トップファンドのその後

  • トップ15ファンドの平均:1972〜2012年でS&P500比+2.87%→2012〜2022年で-2.73%
  • マゼラン・ファンド(リンチ、1977〜1990年):年率29%超(14年連続でこれだけ上回る確率は50万分の1)
  • バークシャー・ハザウェイ(1972〜2012年):年率17.88%、S&P500比+7.95%(偶然の確率100分の1程度)→2012〜2022年はアンダーパフォーム(-1.96%)

優秀なファンドマネジャーを見つけることの困難さ(表27-3)

  • 期待超過収益1%のマネジャーが10年後に市場を上回る確率:62.7%(30年後で71.2%)
  • 期待超過収益2%で10年後:74.0%
  • 期待超過収益5%で2年後:76.1%(約4分の1は2年で市場に負ける)
  • 下手なマネジャーを統計的に確認するには:15年間で年率4%下回ること(20分の1以下の確率)

コストの影響

  • 名目リターン年率11%、1000ドル、30年後:2万3000ドル
  • 手数料1%の場合:累積額が3分の1減少
  • 手数料3%の場合:累積額が1万ドル強(市場平均の半分以下)
  • 1%コスト上昇ごとに退職時期を2年遅らせる必要がある

インデックスファンドの規模

  • バンガード500インデックスファンド:1976年に1140万ドルで設定→1995年末170億ドル→2000年3月1000億ドル超(世界最大)→2021年末8000億ドル
  • トータル・ストック・マーケット・ファンド:1兆3000億ドル超
  • バンガード500の年間総コスト:0.04%

S&P500採用効果

  • 発表から採用日まで株価が平均8.49%上昇、採用10日後に平均3.23%下落、1年後に8.98%上昇(市場調整後)
  • 近年では採用発表で4%以上の上昇
  • ヤフー(1999年12月):5日間で64%高騰
  • テスラ(2020年12月21日):採用発表直後7%急上昇、採用日までに56%以上値上がり

ファンダメンタル加重平均ETF(2007年2月23日〜2022年3月4日)

  • PRF(9.15%)・EPS(9.19%)・DTD(8.22%)はSPY(9.66%)に届かないが、IVE(7.00%)・IWD(6.89%)は上回った

将来への持論と方針

本章の結論は本書全体の中で最も実践的で明確だ。「コストを考慮に入れれば、大部分のアクティブ運用ファンドのリターンはベンチマークを大幅に下回るので、ほとんどの投資家は時価総額加重平均かファンダメンタル加重平均のインデックスファンドを利用したほうが良い」。

年間コストが1%上昇するごとに退職時期が2年遅れるという試算は、特に若い投資家にとって極めて重要な示唆を含んでいる。0.04%のコストで運用できるバンガード500インデックスファンドと、年間2〜3%のコストがかかるアクティブ運用ファンドの差が30年後にどれほどの資産格差になるかは、本章の計算が明確に示している。

長期的な資産形成において、「市場に勝とうとするゲーム」に参加するよりも「市場そのものを保有するゲーム」に徹することが、大多数の投資家にとって最も合理的な選択だという著者の主張は、50年のデータで裏付けられている。最終的な結論は全章を読み終えてから出したい。

それでは。

※本記事は刊行時の記述と、著者自身による修正履歴の確認に基づいています。将来の投資環境についての記述は個人の見解であり、予測を保証するものではありません。

【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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