【第12章解体】バリュー投資は本当に死んだのか?――シーゲルの「敗因分析」を解剖し、2050年の生存戦略を導く

デスクの上に置かれた防災ヘルメットと『SURVIVAL INVESTING』というタイトルの分厚い投資本。背景には株価チャートが表示されたモニターがあり、震災後の生活を守る「資産防災」のイメージを表現している。 資産防災

【免責事項】本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品・投資行動を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。

ジェレミー・シーゲル著『株式投資(Stocks for the Long Run)』第6版 第12章のテーマは「バリュー投資は死んだのか?」だ。低PER・高配当・低PBRという伝統的な指標が長年にわたり示してきた優位性が、2007年以降ほぼ完全に崩壊した。シーゲルはその原因をどう分析したのか。本稿では原文に忠実に整理したうえで、これまでの評価軸に沿って検証する。


【抽出】第6版 第12章の核心的ロジック

A. バリュー投資の定義と歴史的優位性

著者はまずバリュー投資の起源を整理している。ベンジャミン・グレアムとデビッド・L・ドッドが1934年に共著した『証券分析』は、企業の「本質的価値」を財務分析によって算出し、それと市場価格の乖離を利用する投資手法を体系化した。グレアムはさらに1949年に『賢明なる投資家』をまとめ、投資に関する文献で最も有名な人物としてミスター・マーケットを登場させた。ミスター・マーケットとは感情の揺れが激しい双極性の人物の比喩であり、著者によれば賢明な投資家はその気まぐれな感情を逆用することで利益を得られる。グレアムの弟子としてはウォーレン・バフェットが最も有名で、コロンビア大学ビジネススクールでグレアムの下で学んだ。バフェットは1984年に「グレアム・アンド・ドッド村のスーパー投資家たち」を発表し、バリュー原則を規律正しく適用した結果が彼らの優れたパフォーマンスを説明すると示した。

長期データによる裏付けについて著者は図12-1を示している。1951年から2021年の米国株について各年末のE/Pレシオ(益回り=PERの逆数)でランク付けし五分位に分けた。全期間では益回りが最も高い(PERが最も低い)上位20%(第V階層)の年率リターンが15.64%と、最も低い(PERが最も高い)下位20%(第I階層)の9.75%を大幅に上回った。しかし2007年以降はこの差が縮小し、2007〜2021年は第V階層9.75%、第I階層11.68%と逆転している。

B. PERと益回りの研究史

グレアムとドッドは『証券分析』第1版で「平均的な利益の16倍以上の株価で株式を購入する投資家は長期的には多額の資金を失う」と述べた。その後1940年の第2版では利益成長率が高い企業は高いバリュエーションに値する可能性に言及し「妥当なPER」の上限を20倍に改めた。それでも高PER株は将来リターンが低くなりやすいという基本認識は維持された。

1970年代後半、サンジョイ・バスはS・F・ニコルソンが1960年に行った研究を発展させ、低PER株のリターンはリスク調整後でも高PER株を大幅に上回ることを確認した。その後の分析では1926年以降の膨大な株式データを活用し、低PER企業が高PER企業をアウトパフォームすることが繰り返し確認された。

C. 配当と自社株買い

著者は第2の指標として配当利回りを挙げている。グレアムとドッドは『証券分析』で「1ドルの利益は配当として支払われるほうが剰余金に回されるよりも株主にとって値打ちがある」と述べた。著者は、企業が内部資金を効率的に使用していない場合が多いとグレアムが考えていたと解説している。1979年にクリシュナ・ラマスワミーとロバート・リッツェンバーガーは配当利回りと最終的な投資リターンに強い相関があることを示し、ジェームズ・オショネシーは1951〜1996年の期間、大型株のうち配当利回り上位50社のリターンが大型株全体を年率1.7%上回ったことを明らかにした。

自社株買いについて著者は、1982年以前は政府が市場操作への懸念から自社株買いを厳しく制限していたが、SECが1982年に規則(10b-18)を制定して大幅に緩和したと説明する。税制面では、キャピタルゲインが売却時点で初めて課税される自社株買いは配当より有利だ。

図12-2が示す通り、1951〜2021年の全期間で自社株買いを実施した企業の年率リターンは13.50%と、配当利回り上位20%の12.32%をも上回り市場の11.40%を大幅に超えた。2007〜2021年でも自社株買い実施企業のリターンは年率11.22%で市場の10.72%を上回り続けた。一方、配当利回りが最も高い(上位20%)銘柄の2007〜2021年リターンは7.07%にとどまり、市場を大幅に下回った。

D. ダウ10戦略

著者は高配当利回り戦略の一形態として「ダウ10戦略」(別名「ダウの犬戦略」)を紹介している。毎年ダウ平均のなかで最も利回りの高い10銘柄に投資する戦略で、1980年代にクリーブランドの投資アドバイザー、ジョン・スラッターが考案したとされる。図12-3によれば、1957年から2021年までダウ10戦略は年率12.40%と、ダウ平均の11.45%、S&P500の11.03%の両方をアウトパフォームし続けた。しかし2007〜2021年はダウ10戦略が7.96%にとどまり、ダウ平均10.12%、S&P500の10.70%を下回っている。

E. 簿価(純資産)の評価と劣化

著者はファーマとフレンチが1992年に『ジャーナル・オブ・ファイナンス』に発表した「株式市場の期待リターンのクロスセクション分析」を紹介している。同論文は簿価の市場価格に対する比率(BTM)を用いてリスクに比して優れたリターンを示す株式の選択が可能であることを示し、PERよりもPBRの方が将来リターンの予測に優れているとした。

図12-4は1951〜2021年の簿価時価比率(BTM=PBRの逆数)による五分位分けを示している。全期間ではBTM上位20%(低PBR=バリュー)の年率リターンは12.73%と下位20%(高PBR=グロース)の9.46%を上回った。しかし2007〜2021年ではBTM上位20%が7.30%に対し、BTM下位20%(高PBR)が14.09%と逆転した。著者は2006年以降この戦略は市場を年間で3.5ポイント近く下回っていると述べている。

著者はBTM指標の劣化を2つの理由で説明する。第1は無形資産の増大だ。ケイト・エルステンとニック・ヒルの研究によると、S&P500企業の時価総額に占める無形資産の比率は1975年の17%から1985年に約32%、1995年に3分の2超、2015年には84%にまで上昇した。研究開発費や知的財産は取得原価ベースの簿価に反映されない。研究者が無形資産を簿価の計算に含めると近年のバリュー戦略のパフォーマンスが向上することも確認されている。第2は自社株買いの影響で、市場価格で自社株を購入することは簿価を引き下げる効果がある。著者はアップルを例に挙げ、簿価が1株数ドルであるのに市場価格はその何倍にもなると述べている。

F. 2006年以降のバリュー株アンダーパフォーマンスの説明

著者はまず過去にもバリュー株が不振だった時期があったことを確認している。1970年代初頭の「ニフティ・フィフティ」では機関投資家の買いによって1972年12月に平均PERが40倍を超え、S&P500の2倍以上となりバリュー株は大幅にアンダーパフォームした。2000年代初頭のドットコムバブルでも同様だったが、バブル崩壊後はいずれもバリュー戦略が復活した。

しかし著者は、ニフティ・フィフティやドットコム熱狂期のアンダーパフォームの程度と持続期間は2006年以降の低迷には及ばないと指摘する。ファーマとフレンチの簿価基準を用いたロング・ショート・ポートフォリオのドローダウンは55%に達し(大型株では61%)、アンダーパフォームの期間は13.5年と、ドットコムバブル後の2.5年をはるかに上回った。

著者は2006年以降の低迷の原因として4つを挙げている。第1はバリュー産業の崩壊で、金融業が金融危機で大打撃を受けて完全回復せず、石油業が供給過剰と環境規制の強化で崩壊した。第2はESG投資の急増で、パストール・スタンボー・テイラーの研究はバリュー株アンダーパフォーマンスのかなりの部分がESG投資の拡大と関連していると主張した。第3は割引率の低下で、実質・名目両金利の持続的な低下によって、遠い将来にキャッシュフローを生み出すデュレーションの長いグロース株のバリュエーションが相対的に引き上げられた。第4はテクノロジーの台頭で、IT・通信サービスセクターのS&P500における割合は2007年の19%から2021年には40%に拡大し、ITセクターの1株当たり利益は2012年以降の約10年間で年率12.7%成長し他のS&P500企業より5ポイント以上高いペースを維持した。

ただし著者は金利要因についての反論も認めている。金利がグロース株のバリュエーションに与えた影響は過去のデータでは小さく、実質金利が極めて高かった1999〜2000年にドットコムバブルの暴落が起きたという反例がある。そのため低金利がバリュー株アンダーパフォームを一部説明するとしても、十分な説明にはならないと著者は認めている。

G. 大型グロース株の台頭と現在のバリュエーション

著者は図12-5を示して2006年以降のバリュエーション上昇が主に大型株に集中していることを指摘している。1962〜2021年の時価総額上位30%・中位40%・下位30%のPERを比較すると、大型株のバリュエーション指標の上昇幅が突出しており、2021年には低PER銘柄のPERは1960年代前半とほぼ同水準だが高PER銘柄のPERはほぼ倍になった。

これらの大型テクノロジー企業は2013年にCNBC「マッド・マネー」の司会者ジム・クレイマーによってFANGと命名された。元々はフェイスブック・アマゾン・ネットフリックス・グーグルの4社だったが、その後アップルが加わり、さらにマイクロソフトも加えた6社で著者は分析している。2013年時点でこの6社の時価総額の合計が約1兆ドル(S&P500の約8%)だったが、2021年には10兆ドルに達してS&P500の4分の1以上を占めるまでになった。著者はこれほどの集中は1957年の指数誕生時の素材エネルギーセクターが優勢だったとき以来だと述べている。

著者は図12-6でITセクターと時価総額トップ5社のPERを1962〜2021年で示し、2021年時点のPERはドットコムバブル期より低いだけでなく1960年代と比較してもそれほど高くないと述べている。金利は2020年よりも1960年代や2000年の方がかなり高かったことを踏まえると、現在のテクノロジー株のバリュエーションは不合理ではない可能性があるとしている。

H. 結論

著者の結論は「バリュー投資の基本は死んでいない」だ。バリュー投資の基本は価格が真の市場価値と常に一致するわけではないという事実にある。次の支配的産業がどこから生まれるかは誰にも分からないと述べて章は締めくくられている。


【検証】第4版(2005年)から第6版(2025年)への差分分析

2005年(第4版)の執筆時点と2025年(第6版)の間に、投資環境は根底から変わった。

【4版(2005年)の心理構造】
「ドットコムバブルは弾けた。高PERのハイテク株を追うグロース投資は愚かであり、
 伝統的な低PER・高配当(ダウの犬)こそが、歴史が証明した不変の勝利の法則である」
  ↓
【6版(2025年ベース)での現実】
その後15年以上、高PERのビッグテック(GAFAM)が爆発的に上昇。
バリュー株は2007〜2021年に歴史的な惨敗を喫した。
  ↓
【シーゲルの対応】
「バリュー株が負けたのは、超低金利・バリュー産業の崩壊・ESGマネーの偏在・
 デジタル経済の勃興という複合要因のせいだ(バリュー投資の原則そのものは正しい)」
評価軸具体的象徴4版から6版への変質と分析
【改善・的中】自社株買いを含む株主還元の優位性4版でも配当の重要性は強調されていたが、6版では「配当利回り単体」よりも「自社株買い実施企業(トータル・シェアホルダー・イールド)」の優位性が全期間年率13.50%というデータで明確に裏付けられた。配当利回り戦略が2006年以降に失速する中、自社株買い実施企業が市場をアウトパフォームし続けたことは、理論のアップグレードとして評価できる。
【修正・誤認】「バリュー優位論」の事実上の棚上げと「金利・無形資産論」による後付け補強4版では「平均的な利益の16倍〜20倍超の株価で買う投資家は長期的に多額の資金を失う」というグレアムの言葉を支柱としていた。しかし6版でシーゲルは「低金利によるデュレーション効果」と「無形資産による簿価の歪み」という説明変数を新たに持ち出した。これは典型的な後付け補強であり、時代の構造変化を「計算式の前提の変化」にすり替えている側面がある。

【峻別】経済的必然 vs 時代的偶然

経済的必然(2050年でも再現可能性が相対的に高いもの)

  • 「ミスター・マーケット」の非効率性: 市場参加者が過剰に悲観(バリュー株の放置)または過剰に楽観(グロース株のバブル)になるという群集心理は、人間の認知バイアスに根ざしたものだ。2050年でも完全には消滅しない。価格と価値の乖離を突くという基本原則は不変の真理だ。
  • 自社株買い・配当による「資本効率の監視」: 経営陣に現金を遊ばせず、株主に還元させる仕組みが長期的なリターンを高めるという数理的関係は資本主義の構造上の必然だ。自社株買い実施企業が2007〜2021年においても市場をアウトパフォームし続けたこと(年率11.22% vs 市場10.72%)がその証拠だ。

時代的偶然(特定の条件が重なった可能性があるもの)

  • リーマン後〜コロナ禍の「異常な超低金利」: 中央銀行による大規模緩和が生んだ15年超の低金利環境は、グロース株のデュレーションを極限まで引き伸ばして株価を押し上げた。これは「資本主義の仕組み」ではなく「異例の金融政策という時代的偶然」だ。2020年代後半以降のインフレと金利正常化はこの条件が覆ることを示している。
  • GAFAMによる「グローバル・デジタル独占」: 言語の壁を越えて世界中のデータを独占し、限界費用ゼロで利益を生み出すプラットフォーム企業が米国から同時に複数生まれたことは、インターネット黎明期という時代的偶然の産物だ。各国での独占禁止法強化やデータ主権規制の動向を見れば、このラッキーパンチが2050年まで同じ形で再現される保証はない。
  • ESGマネーの「石油売り・テック買い」という偏在: 2010年代後半から加速した「脱炭素マネー」の一方的な流れが石油株を叩き売りテック株を買い上げた現象は、ESGブームという政治的・文化的ブームに乗ったものだ。すでに2020年代中盤からそのブームの退潮が始まっており、この「バリュー株を構造的に不利にした要因」は永続的ではない。

【批判】2050年への死角

① 「低金利前提」のグロース株正当化への死角

シーゲルは「金利が低下したからグロース株のバリュエーション上昇は合理的だった」と説明する。しかしこれは完全に両刃の剣だ。今後20年間、世界の人口動態の反転(労働力不足)や地政学リスク(サプライチェーンの分断)によってインフレが定着し金利が高止まりした場合、グロース株のバリュエーションは構造的に崩壊する。

なお著者自身も「過去のデータでは、金利がグロース株のバリュエーションに与えた影響はバリュー株と比べてほとんどなかった」と認め、1999〜2000年のドットコムバブルの暴落は実質金利が極めて高かった時期に起きたという反例を挙げている。低金利論を「説明の一部」と位置付けたのはシーゲル自身の慎重さを示しているが、同時にこの説明の説得力の限界も示している。

② 「テック株の正当化」に潜む生存者バイアス

図12-5・12-6で示される「時価総額トップ5社のPERは合理的」という主張は、アップルやマイクロソフトが死なずに時価総額を何倍にも拡大したから言える結果論だ。著者自身が「S&P500の約70年の歴史のなかで、これほどまでの集中は1957年の指数誕生時以来」と指摘するほどの異常な集中度が「合理的」かどうかは、今後の利益成長が実際に続くかどうかで初めて判断できる。

③ 「無形資産を考慮すればバリューは勝つ」というレトリックの罠

シーゲルは「無形資産を簿価の計算に含めると近年のバリュー戦略のパフォーマンスが向上する」という研究(アーノット、ハーヴェイ、カレスニク、リンナインマアの研究)を引用している。しかし無形資産の評価は本質的に主観的だ。R&Dに何十億ドルを費やしたまま破綻したスタートアップの事例が示すように、企業の自己申告に近い無形資産をバリューの基準に組み込む行為は、グレアムが提唱した「客観的な安全域(Margin of Safety)に基づく財務分析」からの根本的な逸脱だ。「バリュー投資という看板を守るために、中身をグロース化させている」と読まれても仕方のないレトリックだ。


【評価】第12章の評価軸

評価論点判断の根拠
【信】Core Theory「ミスター・マーケット」の存在と、自社株買いを含む株主還元(トータル・シェアホルダー・イールド)の優位性市場価格が企業の本質的価値から大きく乖離する瞬間は今後も必ず訪れる。自社株買い実施企業が2007〜2021年(年率11.22%)も含めた全期間で市場を上回り続けたデータは、資本主義が続く限り裏切らない原則の証拠だ。
【疑】Variableグロース株の高バリュエーション(高PER)の正当性、および「低金利がバリュー株アンダーパフォームの主因」という説明「高い利益成長が続くこと」と「金利が再び上昇しないこと」という2つの前提が揃って初めて成立する条件付きの主張だ。著者自身が金利要因の説明力の限界を認めている点も見逃せない。
【棄】Bias伝統的PBR(簿価時価比率)によるバリュースクリーニングの有効性著者自身も「簿価が投資家へのシグナルとして劣化した」と認めている。無形資産が時価総額の84%を占める時代に取得原価ベースの簿価で「低PBR=割安」と判断する戦略は完全に機能不全を起こしている。2007〜2021年のBTM上位20%(7.30%)対BTM下位20%(14.09%)という逆転した事実がそれを証明している。

まとめ

本に記述された事実と変遷

第12章の核心は「バリュー投資の基本原則は生きているが、伝統的な指標(特にPBR)は劣化した」という二重の結論だ。数値の確認として重要なものを整理すると以下の通りだ。

図12-1の益回り五分位では全期間(1951〜2021年)でV階層(上位20%)が年率15.64%、I階層(下位20%)が9.75%とバリュー優位だったが、2007〜2021年はV階層9.75%対I階層11.68%と逆転した。図12-2の自社株買い実施企業は全期間13.50%、2007〜2021年でも11.22%と市場(10.72%)を上回り続けた。図12-3のダウ10戦略は1957〜2021年で12.40%とダウ平均(11.45%)とS&P500(11.03%)をアウトパフォームしたが、2007〜2021年は7.96%と市場を下回った。図12-4のBTM五分位は全期間でV(上位20%)が12.73%とアウトパフォームしたが、2007〜2021年はV(上位20%)が7.30%に対しI(下位20%)が14.09%と大幅逆転した。ファーマ・フレンチのロング・ショートドローダウンは55%(大型株61%)でアンダーパフォーム期間は13.5年と過去最長だった。無形資産比率は1975年17%→1985年約32%→1995年3分の2超→2015年84%へと上昇した。テックセクターのS&P500比率は2007年19%→2021年40%、FANG6社の時価総額は2013年の約1兆ドル(S&P500の8%)から2021年には10兆ドル(25%超)へ膨張した。ITセクターのEPS成長は2012年以降の約10年間で年率12.7%と他のS&P500企業より5ポイント以上高かった。

将来への持論と方針

「バリュー投資は死んだのか」という問いよりも、「どのバリュー指標が死んで、どの原則が生き残っているのか」を峻別する方が建設的だ。本章のデータが示す答えは明確だ。PBRによるスクリーニングは無形資産時代に対応できず機能不全を起こした。高配当利回りの単純戦略も2006年以降に著しく失速した。しかし自社株買いを含む株主還元の視点は全期間・最近期ともに実績を維持しており、価格と本質的価値の乖離を突くミスター・マーケットの原則は永遠に有効だ。

「シーゲルが言うバリュー投資の復活」が本物になるとすれば、超低金利の終焉とテック独占の規制強化という2つの条件が揃ったときだろう。2020年代以降のインフレと金利上昇の動向を見れば、その条件が整いつつある可能性はある。最終的な結論は全章を読み終えてから出したい。

それでは。

※本記事は刊行時の記述と、著者自身による修正履歴の確認に基づいています。将来の投資環境についての記述は個人の見解であり、予測を保証するものではありません。

【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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