【免責事項】本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品・投資行動を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。
ジェレミー・シーゲル著『株式投資(Stocks for the Long Run)』第6版 第24章のテーマは「新型コロナウイルスのパンデミック」だ。著者自身が2020年2月12日のセミナーでパンデミックを「強気相場を終わらせるもの」として選んだ聴衆が1人しかいなかったその翌日、S&P500はピークをつけた。その後何が起きたのか、著者はどう予測し、どう当たり、どう外れたのか。本稿では原文に忠実に整理したうえで、これまでの評価軸に沿って検証する。
【抽出】第6版 第24章の核心的ロジック
A. 著者自身の目撃証言
著者は2020年2月12日、アリゾナ州スコッツデールで金融アドバイザー約100人を前にセミナーを行っていた。そのとき株価は史上最高値を更新したばかりだった。2009年3月の金融危機の底入れから続く強気相場は、弱気相場(20%超の下落)がほぼ12年間なかった。著者が示した選択肢の中で「パンデミック」を選んだ聴衆は1人だけだった。
後でわかったことだが、プレゼン前日の2月12日がこの強気相場のピークだった。その後、3月12日に株価は弱気相場の領域に入り、3月29日に底をつけるまでS&P500は34%ほど下落した。7週間足らずで世界中の株式時価総額から20兆ドル超が消えた。著者は「歴史上最も急激な市場の下落」と表現している。
なお著者によれば、S&P500の最も長い強気相場は1987年12月4日から2000年3月24日まで13年以上続いたもので、1990年の下落時もマイナス19.92%で踏みとどまった。
B. 著者の「市場の過剰反応」という当初の見解
著者はパンデミックによる市場の34%下落は過剰反応だと当初から主張していた。その論拠は以下の通りだ。
PERが20倍の株式では、1年分の利益は企業価値の5%にすぎない。仮にパンデミックで1年分の利益が消失しても株価は5%しか下がらないはずであり、2年分でも10%の下落のはずだ。著者はしばしばメディアに出て「株価の下落は5〜10%ほどであるべきで、今回の急落は長期投資家にとって絶好の買い場」と述べていた。
パンデミックの歴史も過剰反応を示唆していると著者は述べる。1918〜1919年のスペイン風邪は新型コロナより致死率が高く特に若くて健康な人への影響が大きかったが、経済や市場への影響は軽微だった。1957年(アジア風邪)と1968年(香港風邪)も市場にほとんど影響を与えなかった。ただし著者は「これらのパンデミックは昔の出来事であり、24時間放送のニュースチャンネルが病院の混乱を映し出す現代では、恐怖心が歴史的な証拠の重みよりもはるかに強く投資家の態度を支配する」とも述べている。
C. 政府とFRBの前例なき対応
経済の急落と市場の崩壊は、政府とFRBの双方に金融危機をはるかに上回る支援対応を促した。
失業保険申請件数は2月最終週の20万件強から4月第1週には610万件を超え、1982年に記録したそれまでの最高件数の9倍以上となった。これを受けてFRBはFF金利の目標を再びゼロ近くまで引き下げ、3月15日に少なくとも5000億ドルの国債と2000億ドルの政府保証付きモーゲージ担保証券の購入を発表した。3月23日には長期債購入を「無制限」にすると発表した。6月10日にはさらに強化し、少なくとも1カ月当たり800億ドルの国債と400億ドルの住宅・商業用モーゲージ担保証券を購入し続けると発表した。
財政面では、金融危機時のアメリカ復興・再投資法(8300億ドル)に対し、2020年3月制定のCARES法では給与保護プログラム(PPP)等を通じて2兆2000億ドルの助成金が支給された。12月にはさらに9000億ドルが追加された。2021年3月には1.9兆ドルのアメリカ救済法も成立した。
FRBの有価証券保有残高は2020年3月中旬から12月上旬までに3.9兆ドルから6.6兆ドルに増加した(新たに2.7兆ドルの国債を買い入れ)。FRBが国債購入を停止した2022年3月には、そのバランスシートは9兆ドル近くまで膨れ上がっていた。
3月24日にS&P500は9.38%上昇し、1日の上昇率として史上2番目の上げ幅を記録した。
D. 著者のインフレ予測論文(2020年4月14日)
マネーサプライの急増を見て、著者はコロナ発生からちょうど5週間後の2020年4月14日付で論文「誰が新型コロナとの闘いの代償を払うのか?」を執筆し同僚に回覧した。
M2は2020年3月から7月までに17.5%増加し、5月から2021年末までの増加率は年率12.1%を超えた(コロナ禍前の水準の2倍以上)。2020年単年のM2増加率は25.8%と米国史上最大で、第一次・第二次世界大戦時の急激な増加を上回った。
著者は「このような増加は必然的にインフレを生じさせることを歴史が証明している。インフレと金利の上昇は40年近く続いた債券の強気相場を終わらせるだろう。『新型コロナとの闘い』の代償は、今後予想されるインフレで価値が目減りする金融資産を保有する人々が支払うことになる」と論じた。
著者はこの予測が当初懐疑的に受け止められた理由として2つを挙げる。第1に、原油価格の急落や在宅勤務によるオフィス賃料の下落など、当時の物価が下がっていた。第2に、金融危機後の大規模な量的緩和でインフレが起きなかったという「前例」があった。
しかし著者はこの2つの危機の決定的な差異を指摘する。金融危機時はFRBの流動性のほとんどが銀行の過剰な準備金の増強に使われ民間部門にはほとんど貸し出されなかった。一方コロナ禍では政府が個人・企業・州地方政府の銀行口座に直接資金を供与した。これがマネーサプライを実際に増やした点で本質的に異なると著者は説明している。
図24-2が示す通り、高インフレ期(1970〜1986年)はM2が年率9.6%増・CPIが年率7.0%と、マネーサプライの増加とインフレ率の間に強固な関係があった。低インフレ期(1986〜2020年)はM2が年率5.4%増・CPIが年率2.6%だった。
E. インフレの過小評価とFRBの失敗
2020年12月時点でFRBが予測したPCEデフレーターの上昇は2021年に1.8%・2022年に1.9%で、FOMC19人の最高予想でも2.3%だった。実際の2021年のインフレはPCEデフレーターでほぼ5%・CPIで7.5%に達した。ブルームバーグが調査したエコノミスト予測の中央値も前年比1.1%増と穏やかなものだった。
著者はインフレが過小評価された理由として3点を挙げる。
第1は「金融危機後の量的緩和がインフレを招かなかった」という誤った前例への依拠だ。コロナ禍のマネー創出は金融危機時と異なり、直接家計・企業の口座に入ったため実際にマネーサプライを増やした。
第2はサプライチェーン問題への誤解だ。2021年のサプライチェーンの問題は新型コロナ関連の混乱だけでなく、財政刺激策増加によるサービスから財へのシフトによる需要の大幅増加が主な原因だった。
第3は労働統計局の手法上の問題だ。CPIのウエイトの3分の1近くを占める住宅部門の調査頻度が少ないため、ケース-シラー指数が20%以上・全米の賃貸コスト指数もほぼ同率上昇していた事実を見逃していた(後に計上されてのちのインフレ率を過大評価することになる)。
FRBは2021年に勃発したインフレを「一過性」と説明し続けたが、2021年11月下旬にパウエル議長はその表現を「撤回」すると発表した。著者はパウエル議長がより早く利上げを行っていれば投機的な行き過ぎとインフレ率はもっと低くなっていただろうと述べている。
F. インフレが株式と債券に与える影響
著者は危機の間、メディアで「株式は実物資産」であると強調していた。株式価値は工場・設備・知的財産などの資本の収益力に依存しており、これら資本の価値は物価水準とともに上昇する。債券や通貨がドルの購買力の変動で調整されないのとは対照的だ。
著者はさらに「レバレッジのかかった企業(低利のローンや債券を大量に抱えている企業)はインフレから大きな利益を得る可能性がある」と述べている。また、インフレが長期にわたって続けば労働者がやがて購買力の損失に対する補償を求め金利が上昇するため、これらの効果も長続きしないとも付記している。
G. コロナ禍とその後の株式バリュエーション
2020年2月から2021年12月までの間に、株価が44%上昇し史上最高値を記録した。S&P500は2020年3月の底値から100%以上上昇した。S&P500の1株当たり利益は2020年初頭予想の180ドルから2021年12月には220ドルへと22%増加し、PERは約18倍から21倍に上昇した。
著者はPER上昇の理由として、ハイテク株の好調・実質金利の長期低下(10年物TIPSがマイナス1%を割り込む)・TINA(There is no alternative:株式に代わるものはない)現象を挙げている。
H. 商品価格と不動産価格の変動
インフレ時に富を守る資産として著者は商品と不動産を取り上げている。
商品価格: CRBの19品目商品価格指数は2021年末までにコロナ禍前の水準から20%以上上昇した。原油は2019年末の60ドルから2月中に50ドルまで下落し、3月19日に46ドルから27ドルへ急落、4月20日には先物終値がマイナス40.32ドルに達した(クッシングの貯蔵施設に原油が溢れ、売り手が原油を運び出すための費用を支払わなければならなかったため)。木材価格はコロナ禍前から2021年夏までに4倍に跳ね上がり(2021年末時点でもコロナ禍前の2倍)、バルチック海運指数はコロナ禍前の水準から5倍に上昇した。
不動産価格: ケース-シラー住宅価格指数は2020年3月から2021年12月までで25%以上上昇し、同指数が作られた1986年以降で最も急速な上昇となった(2008年金融危機前の住宅バブル時の上昇率を上回る)。著者は今回の住宅価格上昇の要因を、金利低下・別荘需要・ホームオフィスを備えた広い住宅の需要増加によるものとし、2005〜2008年の貸出基準緩和が主因だった前回とは「恒久的である可能性がはるかに高い」と述べている。
REIT指数は2020年2月20日から3月23日までに43%超下落した。その後急反発し2021年12月にはコロナ禍前のピークを18%上回ったが、S&P500の42%上昇には及ばなかった。REIT内でも差が大きく、商業オフィスは2021年末にやっとコロナ禍前の水準、データセンターはコロナ禍前から50%近く上昇、セルフストレージはほぼ2倍となった。
I. 経済の恒久的な変化
著者はコロナ禍の急性期が過ぎた後も持続する変化として3点を挙げている。
第1に平均寿命の延び。 mRNAワクチンの開発は感染症の抑制・免疫システムの強化・がんなどとの闘いにとって画期的な技術であり、退職後のさらなる長寿化が見込まれる。老人ホームや医療介護・旅行・レジャー活動などの需要が高まるだろう。
第2に在宅勤務の増加。 商業オフィス需要の急激な減少・オンラインショッピングとホームエンターテインメントの増加・ビジネスのみの旅行の減少・ギグエコノミーの台頭・生産性の向上と労働時間の減少など、多岐にわたる変化が予想される。
第3に金融見通しへの影響。 イールドカーブの平坦化と実質金利の頻繁なマイナス化・株式と企業収益の回復力(ほとんどの資産の価値の90%以上は1年以上先の収益力に依存しており短期的な混乱が資産価格の急落を正当化しない)・インフレヘッジとしての実物資産(不動産・商品・株式)の重要性の再認識だ。
J. 結論
著者の結論は「危機がイノベーションに拍車をかける」という観点で締めくくられている。コロナ禍は人命の悲痛な損失をもたらしたが(米国で100万人以上・世界でおそらく2000万人以上)、mRNA技術・遠隔通信の発展を加速させた。第二次世界大戦が原子力エネルギーやジェットエンジン・インフルエンザワクチンとペニシリンの普及をもたらしたように、危機は「ローカルマキシマ」から私たちを引き離して新たな行動へと押しやる。
【検証】第4版(2005年)から第6版(2025年)への差分分析
【4版(2005年)の状況】
「2005年の時点でパンデミックという概念は投資家にほぼ無視されていた」
↓
【6版(2025年ベース)での現実】
コロナ禍で7週間に20兆ドルが消失する急落→史上最速の回復→
著者が予測したインフレが2021〜2022年に実際に発生→
FRBが「一過性」という予測を撤回→2022年に急利上げ
↓
【シーゲルの対応】
「市場の34%下落は過剰反応(5〜10%が適切)だったが、
マネーサプライ急増→インフレ→金利上昇→株式の弱気相場という
連鎖は著者が2020年4月14日時点で予測した通りだった」
| 評価軸 | 具体的象徴 | 4版から6版への変質と分析 |
|---|---|---|
| 【改善・的中】 | 2020年4月14日のインフレ予測の正確さ | 著者が「マネーサプライの急増は必然的にインフレを生じさせる」「40年続いた債券の強気相場を終わらせる」と論じた時点で、FRBの最高予想は2.3%だった。実際のインフレはCPIで7.5%に達した。貨幣数量説に基づく予測が的中した事例として記録に値する。 |
| 【修正・誤認】 | 「市場の34%下落は過剰反応で5〜10%が適切」という当初の評価 | 著者の計算(PER20倍×1年分の利益喪失=5%の下落)は理論的には正しいが、パンデミックが「1年で解決する」という前提が当初は不確実だった。結果的に急回復したため著者の「買い場」という判断は正しかったが、34%下落が「過剰反応」かどうかはリアルタイムでは確認できなかった。 |
【峻別】経済的必然 vs 時代的偶然
経済的必然(2050年でも再現可能性が相対的に高いもの)
- 「マネーサプライの急増が実体経済に直接注入されるとインフレを生む」という貨幣数量論的必然: 著者が指摘した「金融危機時との差異(銀行の準備金増強 vs 家計・企業への直接給付)」は、マネーの「流通速度」という古典的な経済学の概念から導かれる必然だ。
- 「株式は実物資産としてインフレに対するヘッジになる」という原則: 企業が保有する工場・設備・知的財産の価値がインフレとともに上昇するという関係は、資本主義の構造から導かれる。ただし著者が第9章で述べているように、短期的にはインフレは株式にとって悪材料であることも認識が必要だ。
- 「危機がイノベーションに拍車をかける」という歴史的パターン: 第二次世界大戦とコロナ禍という2つの大きな事例が示すように、「ローカルマキシマ」を破壊する危機がイノベーションを加速させるという関係は、2050年でも再現可能性が高い。
時代的偶然(特定の条件が重なった可能性があるもの)
- 2020年4月の原油先物マイナス価格: クッシングの貯蔵施設が満杯になるという極めて特殊な物理的条件と先物市場の仕組みが重なった時代的偶然だ。2050年の脱炭素化が進んだ世界では石油の役割自体が大きく変わる。
- 「在宅勤務の急拡大」という働き方の転換: ズームなどのビデオ会議ツールが普及していたという2020年代特有の技術的条件に依存した変化だ。著者が予測する恒久的変化の多くは、2050年の技術環境によって再び変化する可能性がある。
- FRBの「一過性」という誤った評価: これは特定の人物・組織が特定の時代に犯した予測誤差であり、繰り返される可能性はあるが特定の人物の判断力に依存した時代的偶然でもある。
【批判】2050年への死角
① 「市場の34%下落は過剰反応」という主張の実証上の問題
著者の「PER20倍×1年分の利益喪失=5%の下落が適切」という計算は、パンデミックが「1年以内に解決する」という前提が成立して初めて有効だ。リアルタイムでは誰も収束時期を知らなかった。もしワクチン開発が2023年や2025年まで遅れていたら、著者の「5〜10%の下落が適切」という主張は全く正しくなかった可能性がある。著者の楽観論は結果的に正しかったが、それは事後的な評価であり、意思決定時点でのリスクを適切に評価したかどうかは別の問題だ。
② 「在宅勤務は恒久的変化」という予測の未検証性
著者は在宅勤務の増加を「コロナ禍の急性期が過ぎた後も持続する変化」と述べているが、本書第6版の執筆時点(2022〜2023年頃)以降、多くの大企業がオフィス回帰を進めている事実がある。著者の予測が「恒久的」かどうかはまだ決着がついていない。
③ mRNA技術の「平均寿命延長」という見通しの楽観性
著者はmRNAワクチンの開発を「平均寿命が長くなる」変化の主因として位置づけているが、感染症以外(がんなど)への応用が実際に寿命延長に直結するかどうかは2024年時点でもまだ臨床的に確認されていない段階だ。
【評価】第24章の評価軸
| 評価 | 論点 | 判断の根拠 |
|---|---|---|
| 【信】Core Theory | 「マネーサプライの急増が実体経済に直接注入されるとインフレを生む」という著者の2020年4月時点での予測と、「株式は実物資産としてインフレヘッジになる」という原則 | 著者の予測(CPIが7.5%に達する)はFRBや市場コンセンサスを大きく上回る精度で的中した。この予測の根拠となった「金融危機との違い(直接給付)」という分析は説得力が高い。 |
| 【疑】Variable | 「コロナ禍が引き起こした変化の多くは恒久的」という予測、特に在宅勤務の定着と住宅価格上昇の持続性 | 著者が「恒久的である可能性がはるかに高い」と述べた住宅価格上昇は、金利上昇と共に調整圧力が高まっている。在宅勤務の定着度も企業ごとに大きく異なる。 |
| 【棄】Bias | 「市場の34%下落は過剰反応で5〜10%が適切」という確信を持ってリアルタイムに投資判断の根拠にする試み | これは「ワクチンが1年以内に開発される」という不確実な前提に依存しており、リアルタイムでは検証不可能な前提だった。著者の結論は結果的に正しかったが、意思決定時点での不確実性を過小評価している可能性がある。 |
まとめ
本に記述された事実と変遷
第24章の核心は「コロナ禍への市場の急落は過剰反応だったが、マネーサプライの急増が生んだインフレは著者が2020年4月時点で正確に予測した。政府とFRBの前例なき対応が急落から急回復を可能にした一方で、インフレという「代償」を後に払うことになった」という複層的な記録だ。
市場の動き
- S&P500のピーク:2020年2月12日(著者のセミナー翌日)
- 底値:2020年3月29日(34%下落)、世界の株式時価総額から20兆ドル超が消失(7週間足らず)
- 3月24日:S&P500が9.38%上昇(史上2番目の1日の上げ幅)
- 2020年2月〜2021年12月:S&P500が44%上昇(史上最高値)、2020年3月底値から100%以上上昇
- PER:約18倍→21倍に上昇
政府・FRBの対応
- 失業保険申請件数:20万件強(2月最終週)→610万件超(4月第1週)、1982年記録の9倍以上
- CARES法:2020年3月、2兆2000億ドルの助成金(金融危機時の8300億ドルの約2.7倍)
- 12月の追加刺激策:9000億ドル
- FRBバランスシート:3.9兆ドル(2020年3月中旬)→6.6兆ドル(12月上旬)→9兆ドル近く(2022年3月)
マネーサプライとインフレ
- M2増加:2020年3〜7月に17.5%増加、2020年単年で25.8%増(米国史上最大、第一・二次世界大戦を上回る)
- 2020年5月〜2021年末:年率12.1%超で増加
- FRBの2021年インフレ予測(2020年12月):PCEデフレーターで1.8%(FOMCメンバーの最高予想でも2.3%)
- 実際の2021年インフレ:PCEデフレーターでほぼ5%、CPIで7.5%
商品・不動産
- 原油先物(4月20日終値):マイナス40.32ドル
- 木材価格:コロナ禍前から2021年夏までに4倍(2021年末時点でコロナ禍前の2倍)
- バルチック海運指数:コロナ禍前の水準から5倍
- 住宅価格(ケース-シラー):2020年3月〜2021年12月に25%以上上昇(1986年以降最速)
- REIT指数:43%超下落後、2021年12月にコロナ禍前ピークを18%上回る(S&P500の42%には及ばず)
- データセンター:コロナ禍前から50%近く上昇、セルフストレージはほぼ2倍
将来への持論と方針
本章の最も重要な教訓は2つだ。
第1に「マネーサプライの急増が家計・企業の口座に直接流入した場合、インフレは避けられない」という著者の予測は、2022年に中央銀行が慌てて利上げを行ったことで追認された。次の大規模財政出動の際にも同じ分析が必要だ。
第2に「株式は実物資産としてインフレヘッジになる」という原則は、2020〜2021年の実績で確認されたが、同時に著者自身が「インフレが長期にわたって続けば利益を得る効果も長続きしない」と述べていることを忘れてはならない。インフレヘッジとしての株式の有効性は、インフレの持続期間と金利上昇の速度に大きく左右される。最終的な結論は全章を読み終えてから出したい。
それでは。
※本記事は刊行時の記述と、著者自身による修正履歴の確認に基づいています。将来の投資環境についての記述は個人の見解であり、予測を保証するものではありません。
【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。


